私たち、ポリクリ
（臨牀実習）グループは、
幸運にも、大学で
生命誕生の場に
立ち会うことが
できました。
私は、その感動の
余韻が薄れるにつれて、
入室した時と、周りが
変わっているのに
やっと気づきました。
ポリクリメンバーが
ふたり減っていたのです。
分娩の際、
会陰切開を行ったときの
出血が思ったより多く、
見ていた私たち学生の
ふたりが気分悪くなり
退室していました。
そのうち一人は相当
血圧も下がって
立てなくなったようで
妊婦さんが分娩後に使う
回復ベットに寝かされて
いました。
今まで、このベットに、
男性が寝たのは、
初めてのことだと、
担当教官に、
茶化されていました。
その後、数ヶ月間は
妊婦さんのベットに
初めて寝た男性として
彼の名前は、私たちの
学年で語り継がれました。
もうひとり、
気分が悪くなって
退室した学生は、
横になるほどではなく
座り込んでいました。
初めての出産場面を
目の当たりにして、
気分が悪くなった彼ですが、
意外にも、その後、
彼は産婦人科医への
道を進むこととなります。
もちろん、今は、
出産の立ち会いで、
しゃがみ込むようなことは
ないと思います。
このように、
ポリクリ（臨床実習）を通して、
私たち医学生は、貴重な
体験を積み重ねていきます。
自分自身の骨折体験から
医師になることを目指して
いた私ですが、
どの科に、進むかは
まだ、そのときは
悩んでいました。
（つづく）

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